〈夜明けの時代〉
王より前、王冠より前、ただ樹々のみがあった ― そして樹々より見つめる眼が。
日々の黎明について、シタデルは記録を持たぬ。あるのはただ森の子らの歌と、最初の人々が建てた石のみ。以下に続くは伝説であり、秤にかけて ― おおむね ― 価ありと認めたものである。
最初の人々、ドーンの腕を渡る
エッソスより最初の人々が、青銅と馬と火とともに、今はもう存せぬ地峡を渡って来た。
『真正史』は一万二千年とするが、八千年を唱える大メイスターもいる。最初の人々が見出したのは、狼とウェアウッドのウェスタロスであり、記憶より古き種族 ― 森の子らと巨人族 ― がこれを領していた。彼らは畑を拓かんと樹々を焼き、その焼き討ちには報いがあった。
最初の人々と子らの戦い
青銅と古き魔法との、二千年に及ぶ戦い。いずれも相手を滅ぼすことはかなわなかった。
子らは数少なく華奢であったが、その緑視者たちは森そのものの力を振るった。最初の人々は数多く力強く、ウェアウッドが一本倒れるごとにそれは傷となった。歌は戦が二千年続いたと言う ― 歌は切りのよい数を好むものだ。
〈水の鎚〉
侵略者を阻まんと、緑視者たちはドーンの腕を砕いて海に沈めた。のちには、〈頸〉を水没させた。
モート・ケイリンに ― あるいは〈面々の島〉に、伝えは食い違うが ― 集った緑視者たちは、その最も深き魔法を呼び下ろした。腕は砕けて〈踏み石諸島〉となり、二度目の鎚は〈頸〉を沼と化した。海は従った。すでに上陸していた最初の人々は、従わなかった。
〈面々の島〉の盟約
〈神の目〉の島にて、人と子らは樹々に平和を刻んだ ― 海岸と畑は人に、深き森は子らに。
島のすべてのウェアウッドには、神々が見届けられるよう面が与えられた。緑の人々がそれを守るべく置かれ、伝えが真ならば、今なお守っている。〈盟約〉は四千年保たれた ― 年代記が記す最も長き平和にして、最もそれに値せぬ平和である。
最初の人々、古き神々を受け入れる
続く平和のうちに、最初の人々はおのが神々を脇に置き、川と石と樹の名もなき神々に跪いた。
子らより彼らは、ウェアウッドの崇拝、面の彫刻、そして〈神々の森〉の守りを受け継いだ ― だが、より古き血の生贄の習わしは受け継がなかったと、修道士たちは安堵して記す。少なくとも、あらゆる地でというわけではない。北部は今なおこれらの神々を奉じている。
〈英雄の時代〉
いずれの城もその石に名を宿す。多くは偽り。上等なものは、まず真である。
〈盟約〉の下の四千年の平和、百の小王国、そして今なお大貴族家がこぞって鎧のごとくその名を帯びる開祖たち。
〈英雄の時代〉が始まる
百の王国がウェスタロス各地に興り、大貴族家の開祖たちが伝説より歩み出て、また伝説のうちへと歩み入った。
リーチを花咲かせた緑手のガース、建設者ブラン、賢者ラン、ドゥラン・ゴッズグリーフ、〈灰色王〉 ― 吟遊詩人を信じるならば、幾百年を生き、あり得ぬ業を成した者たちである。メイスターは、家々が実在することは信じ、残りは歌に任せておく。
建設者ブラン、ウィンターフェルを築く
〈建設者〉は温泉の上にウィンターフェルを築き、その血統は〈冬の王〉として戴冠した。
スターク家はその居城より、八千年にわたって北部を治めることになる ― 既知の世界が名を挙げうるいかなる王朝よりも長く。同じブランドンが、ストームズ・エンドも、ハイタワーも、そして〈壁〉そのものも築いたとされる ― それが真なら、彼はよほど旅慣れた男であったか、あるいはよほど数多くの男であったに違いない。
ドゥラン、ストームズ・エンドにて神々に抗う
ドゥランは、海神と風の女神の娘エレネイを娶り、その怒りが彼の城を六つまで打ち砕いた。七つ目は今なお立っている。
神々は嵐また嵐を送り、ドゥランはそれに抗して城また城を築き、ついに七つ目は ― のちに建設者ブランとなる少年の助言を得て建てたと言う者もいる ― 打ち倒せなかった。デュランドン家の〈嵐の王〉たちは、幾千年もそこに君臨した。
賢者ラン、〈岩〉をせしめる
軍も黄金もなく、ランは弁舌か、策略か、あるいは化けて出てか、キャスタリー家をキャスタリー・ロックから追い出した。黄金は後から来た。
その策略について伝えは一致しない ― 壁のうちの亡霊、食料庫に放たれた獅子、髪に織り込まれた盗まれし太陽。だが結果については一致する。ウェスタロス随一の富める居城が、そこに住まう最も賢き男の手に渡り、以来その子孫は借りを返し続けている。
〈灰色王〉と〈溺れし神〉
鉄諸島にて〈灰色王〉は海竜ナガを討ち、その民のために〈溺れし神〉の道を取り入れた。
彼はナガの肋骨で広間の屋根を葺き、人魚を娶り、千年君臨した。彼より鉄の民は〈古き道〉を受け継ぐ ― 死せるものは決して死なず、鉄の代価を払えぬものはそれを得るに値せぬ、と。緑なす地の民は、その教えを決して赦してこなかった。
ハイタワーとシタデルの創設
ハニーワインの河口にて、ハイタワー家はその灯台を掲げた ― そして病弱なペレモア公の好奇心が、メイスターたちのシタデルとなった。
ペレモアは賢者たちを愛玩のごとく身辺に置いた、と物語は伝える ― 癒し手、星読み、魔法を使えぬ魔術師たち。彼の死に際して、その兄弟が河沿いの土地を彼らに与えた。それら「愛玩」より、知識を一鎖ずつ繋ぐ組織が育った ― そして本書のごとき年代記を記す組織が。
〈冬の王〉たち、北部を平定する
幾千年をかけて、スターク家は〈塚の王〉、〈沼の王〉、ドレッドフォートの〈赤き王〉、そしてその間のあらゆる好敵手を打ち破った。
年代記は、北部が圧縮せぬものを圧縮する ― ボルトン家との数世紀にわたる戦い ― 彼らはスタークの領主を剥いで外套にした ― シー・ドラゴン・ポイントの攻略、〈憑依王〉の滅亡。北部はそのすべてを覚えている ― それこそがまさに北部というものだ。
〈長い夜〉
ひと世代にわたり降りた冬。世界のうえに降りた夜。
時代の最も暗き刻、異形が最果ての北より来たった。この年代記のうち、これほど重き章はなく ― これほど薄き羊皮紙に載る章もない。
〈長い夜〉が降りる
ひと世代続いた冬、そして幾年も続いた夜。最果ての北より、年代記が記す唯一の折に、異形が来たった。
青き星のごとき眼を持つ、冷たく死せるものども。死せる馬にまたがり、討たれし者を起こしておのが手勢とした。王国は暗闇のうちに飢えた。母は子を凍え死なせるより、みずから窒息させた。この年代記のいかなる伝説にもまして、シタデルがこれこそ偽りであってほしいと願うのがこれである ― そして〈壁〉ひとつぶんの疑いをこれに向けて築く。
〈最後の英雄〉、子らを求める
十二人の仲間、一頭の馬、一匹の犬、そして寒さに砕けた一振りの剣とともに、〈最後の英雄〉は子らを見つけんと死の地へ分け入った。
仲間はひとりまたひとりと死に、乳母ナンの語る物語は、温かき血の匂いを嗅ぎつけた異形が迫り来るところで途切れる。夜明けが訪れたところをみると、彼は子らを見つけたらしい。アッシャイでは同じ戦を異なるように語り、その英雄をアゾール・アハイと、その剣をライトブリンガーと呼ぶ。
〈夜明けの戦い〉
最初の人々と子らは力を合わせ、異形を最果ての北へと押し返し、そして壊れた世界に陽が昇った。
歌は、冥夜の守人がこの戦のうちに生まれたと言う ― 以後その戦線を守る黒衣の兄弟たちが。何が異形を打ち破ったのか、いかなる記録も語らぬ ― 竜結晶か、竜鋼か、生贄か、あるいは吟遊詩人が伝えるにはあまりに恐ろしいと思った何かか。シタデルはこれを勝利の項に綴じ込み、北を見ようとはしない。
〈壁〉が築かれ、守人が始まる
世界の頸を横切る七百フィートの氷。建設者ブラン、巨人族、そして氷そのものに織り込まれた呪文の業とされる。
何がそれを築いたにせよ、〈壁〉は伝説ではない ― それは現に立っている。三百マイルの長さで、その芯には、自由の民が味わえると誓う魔法が通っている。冥夜の守人はナイトフォートを最初の居城とし、王冠を戴かず栄光を得ぬと誓った ― 闇のなかの剣、城壁のうえの見張り。
〈夜の王〉
十三代目の総帥は、冷たく青き眼をした死せる女を妻に迎え、みずからを王と称し、十三年のあいだナイトフォートを忌まわしきものとした。
彼は魔法で兄弟たちを縛り、異形に生贄を捧げた ― ついにウィンターフェルのスタークと、〈壁の彼方の王〉ジョラマンが力を合わせて彼を討ち倒すまで。その後、彼の名の記録はことごとく削られた。乳母ナンは彼はスタークであったと、そしてブランドンという名であったと言う。乳母ナンは実に多くのことを言う。
〈アンダル人の到来〉
彼らはおのが肉に七つの星を刻み、古き王国はひとつまたひとつと倒れた。
アンダロスより、鉄と七神と、北部を除くあらゆる地における最初の人々の支配の終わりが来た。その年を問われれば、賢きメイスターはゆるりと答える。
アンダル人、狭い海を渡る
アンダロスの丘陵より、金色の髪の民が来た ― 鉄の剣を携え、七芒星を肉に刻み、古き渇きを抱いた新たな信仰とともに。
『真正史』は六千年と言い、大メイスター・ペレスタンは四千年を、デネスタンはわずか二千年を唱える。シタデルは、アンダル人が最初の人々と戦ったよりも長く、この件をめぐって争ってきた。彼らはまずヴェイルに上陸し、そこを〈指〉と呼び、そして岸に着いたその瞬間から、星を ― そして王国を ― 刻み始めた。
〈七つの星の戦い〉
〈巨人の槍〉の麓にて、〈鷹の騎士〉アーティス・アリンは、ヴェイル最後の最初の人々の王を打ち破り、山々は永遠に主を替えた。
ロバー二世がヴェイルの最初の人々を束ねたのは、あまりに遅かった。歌はアーティスに、山を越える飛翔と旗を奪う策略を与える。メイスターは彼に、巧みな側面行軍を与える。アリン家はその日よりヴェイルを治めてきた ― ウェスタロスで最も古く最も純粋なアンダルの血統だと、彼らはあなたに語るだろう。
南部、ひとつまたひとつと王国が倒れる
リヴァーランド、ストームランド、リーチ、〈岩〉 ― ひとつまたひとつと、最初の人々の王国は鉄に倒れるか、あるいは鉄と婚を結んだ。
アンダル人は征服できぬところでは婚を結び、婚を結んだところでは改宗させた。数世紀のうちに、〈頸〉より南のあらゆる王冠は、アンダルの頭か、アンダル化した頭に載っていた。ただ鉄の民のみがおのが神を守り抜き、それもアンダル人が送り込んだ修道士たちを溺れさせることによってであった。
〈七神正教〉が根づく
〈神々の森〉のあったところに聖堂が建ち、オールドタウンの〈星の聖堂〉がウェスタロスにおける〈信仰〉の座となった。
唯一神の七つの顔 ― 〈父〉、〈母〉、〈戦士〉、〈乙女〉、〈鍛冶〉、〈老婆〉、〈異邦人〉。〈信仰〉は聖なる修道会と、騎士道の誓いと、そして ― やがては ― みずからの剣をもたらした ― 〈戦士の息子ら〉と〈貧者の同胞団〉であり、その熱狂を認可したことを王たちはのちに悔いることになる。〈頸〉より南のウェアウッドは、おおむね斧にかけられた。
北部、あらゆる軍勢を跳ね返す
北部へ進軍したアンダルの軍勢はことごとく、モート・ケイリンの土手道に砕けた。古き神々は、その最後の王国を守り抜いた。
〈頸〉の廃砦は、百人の射手で軍勢を相手に守りきれる ― 両側は沼、その下には蜥蜴獅子、そして目の届かぬあらゆるところに毒矢を携えた湿地人。〈冬の王〉たちは、その魅力にアンダルの武将どもの首を加えた。この砦は、南から陥とされたことが一度もない。
〈ヴァレリアの自由国〉
自由国は王国でも帝国でもなかった。その必要がなかった。竜を擁していたのだ。
狭い海の彼方、羊飼いたちが十四の山に眠る炎を見出した。五千年に及ぶヴァレリアの真昼が続く ― ドラゴンストーンと呼ばれる煙る岩へのひと一族の退去をもって終わる。
羊飼いたち、〈十四の炎〉の竜を馴らす
エッソスの半島の、火山の環のうちで、牧人たちは竜が巣くうのを見出した ― そして角笛と鞭と魔法をもって、その背に乗ることを学んだ。
かくしてヴァレリアの自由国が始まった ― 王はなく、土地を持つあらゆる市民が自由民であり、そのすべての上に四十の竜将の一族があった。ギスカリの軍団は五度、この成り上がりどもへと進軍した。歩調をそろえた軍団は、実に勇敢で、実に規律正しく、そして実によく燃えた。
古ギス燃ゆ、最初の帝国の終わり
五度目の戦いの後、ヴァレリアは古ギスを焼き払い、その畑に塩をまき、その民を売り払った。世界最古の帝国は、港を備えたひとつの記憶となった。
五千年のギスカリ文明が、竜の炎のうちに終わった。奴隷都市アスタポール、ユンカイ、ミーリーンはのちに、帝国の亡骸をおのが身にまとうことになる ― ハルピュイア、ピラミッド、そして闘技場を ― 征服者たちのヴァレリア語を話しながら。歴史にはユーモアがある ― もっとも、残酷なそれだが。
ブラーヴォス、〈秘密の都市〉
自由国の奴隷たちが蜂起し、みずからを運ぶ船団を奪い取り、世界の縁の霧と汽水のうちに、ひとつの都市を隠した。
月歌う者たちが、彼らを潟へと導いた。一世紀あまりのあいだ、ブラーヴォスは秘かに育った ― あらゆる種族によって、そして主人なくして築かれた都市。今や〈巨人像〉がそこを跨ぎ、〈鉄の銀行〉がそこで勘定する。その創建の年でさえ論争の的であり、それをブラーヴォス人はむしろ楽しんでいる。ついにみずからの覆いを取ったとき、ヴァレリアは慇懃に激怒した。
ロイナー戦争とガリンの呪い
偉大なるガリンは、二十五万のロイナーを率いてヴァレリアの植民市に立ち向かった ― そして勝った、三百頭の竜が来るまでは。
川の民の水の魔術師は、かつてヴァレリア鋼を打ち破ったことがある。だが空を打ち破ることはできなかった。籠に入れられクロヤーンで死にゆくガリンは、征服者たちを呪った。彼の都市は霧と灰鱗病に沈み、〈悲しみの地〉は今なおその呪いを負っている。〈母なるロイン〉は、その子の声を聞いたのだと、孤児たちは言う。
ニメリアの一万隻の船
ヴァレリアに跪くくらいならと、戦士たる女大公ニメリアは、その民のすべてを水の上に乗せた ― 一万隻の船、いずこへともなく漕ぎ出でて。
漁師の小舟、艀、交易のガレー船 ― 浮かぶものなら何でも、ロイナーの生き残り、その多くは女と子どもを詰め込んで。彼らはバジリスク岬で挫折し、ソソリオスで挫折し、ナースで挫折し、ついにウェスタロスで最も乾き最も貧しい片隅にたどり着いた ― それが好都合であった。そこまで彼らを追う者はいなかったのだから。
ニメリア、モーズ・マーテルを娶り、ドーンひとつとなる
ニメリアは船を焼き、〈砂の船〉の領主を娶り、十年の戦いのうちに、六人の好敵手たる王を黄金の枷にかけて〈壁〉へ送った。
その結びつきより、ニメロス・マーテル家と、他の王国とは似ぬドーンが生まれた ― 王ではなく大公、娘が息子と等しく相続し、ロイナーの頑固さが砂に染み込んだ地。三百年に及ぶターガリエンの竜も、ひとつの難民の船団が築いたものを崩すことはかなわぬだろう。
〈夢見る者〉ダイニス、ターガリエン家ヴァレリアを去る
ある竜将の娘が、ヴァレリアの終わりを夢に見た。その父エイナーは所領を売り払い、一家を ― そして五頭の竜を ― ドラゴンストーンと呼ばれる荒涼たる岩へと移した。
他の三十九の竜将の一族は、ウェスタロスの辺境の砦で縮こまる亡命者だと、ターガリエン家を嘲笑った。十二年後、それらの一族はことごとく灰となった。予知はあの血に流れている、と年代記は記す ― そしてそれが恵み深く流れることは稀である。
〈破滅と血〉
ただ一日にして、五千年の栄光が崩された。
〈十四の炎〉が噴き、竜将たちが滅び、自由国の遺児たる諸都市が屍を貪り合うなか、血の一世紀が続いた。ドラゴンストーンには、竜将のひと家が残った。
ヴァレリアの破滅
ただ一日にして、〈十四の炎〉がひとつとなって噴き上がった。火の山々、煮え立つ海、灰と溶けた石の雨 ― そして五千年の自由国が消え去った。
五百マイルにわたってあらゆる丘が裂け開いた。半島は砕け、〈煙る海〉がかつて世界の中心であった地を覆っている。ほぼすべての竜と竜将が滅び、それとともに、呪文も、書物も、鋼の技も滅びた。何がそれを引き起こしたのか ― 神々か、火の司祭たちの失態か、深く掘りすぎた十四の坑道か ― 年代記は語りえない。水夫たちは、〈破滅〉が今なおそこを支配していると言う。水夫たちは、それを確かめようと長居はしない。
〈血の一世紀〉
母なる都市が死に、その娘たちは戦いへと向かった。ヴォランティスは帝国を摑もうとし、ドスラク人は東より溢れ出し、そして百年のあいだ、何ひとつ持ちこたえなかった。
ヴォランティスはリスとミアを取り、ティロシュへと手を伸ばした ― 他の都市が、ブラーヴォスの金貨と、そして最後にはリスでのターガリエンの竜の炎とをもって、その驕りを打ち砕くまで。草の海では、カールたちがヴァレリアの守ってきたものを焼いた。傭兵と墓掘りにとっては、良き一世紀であった。
〈彩色の卓〉のエイゴン
最後の竜将たちは、百年ものあいだドラゴンストーンに腰を据え、交易し、待った。やがてエイゴンは、ウェスタロスの形に卓を彫らせた ― 境界の一切引かれていない卓を。
長さ五十フィート、七王国のあらゆる川と山が描かれ、しかしそれらを分かつ線は一本もない。エイゴンは自由都市の戦いにおける王冠を辞退し、書簡には慇懃に返し、そして一度も治めたことのない国を研究した。卓は、彼が口にせぬことを語っていた。卓とは、おおむねそういうものだ。
〈エイゴンの征服〉
七つの王国。三頭の竜。ひとつの紀年、新たに始まる。
エイゴン・ターガリエンとその姉妹は、小勢と大いなる炎とともに上陸し、世界の紀年が変わった ― 文字どおりに。以後のすべての年は、彼の征服より数えられる。その息子らは、彼の業をあやうく崩しかけた。
エイゴン、ブラックウォーターの河口に上陸する
千六百に満たぬ剣と、二人の姉妹と、三頭の竜とともに、エイゴン・ターガリエンは岸に上がり、三つの丘に木造の砦を築き始めた。
ウェスタロスの領主たちは、数万を率いていた。エイゴンが率いていたのは、翼と同じく炎も黒き〈黒き恐怖〉バレリオンであり、その姉妹はヴハガーとメラクセスにまたがった。エイゴンフォートの丘は、いつの日かキングズ・ランディングを載せることになる。領主たちは、服従は*己ら*に差し出されるべしと要求する鴉を送った。鴉への返答は、墨をもってなされはしなかった。
ハレンホール燃ゆ
黒のハレンは、かつて築かれた最大の城を、まさにエイゴンが上陸したその日に完成させた。石の壁は空には届かぬ、とエイゴンは見て取った。
「竜は飛ぶ」と、エイゴンは城壁の下で彼に告げ、服従には慈悲を差し出した。ハレンは五つの巨大な塔を頼みとした。その夜、バレリオンが闇より舞い降り、ハレンホールの塔は蝋燭のごとく溶け、ハレンとその一族すべてを内に抱いたまま崩れ落ちた。以来この城は呪われ、そして安く借りられるようになった。
〈火の野〉
〈岩〉とリーチの王たちは、五万五千の兵をもってエイゴンを迎え撃った。ただ一度きり、三頭の竜がひとつとなって飛んだ。四千の兵が焼かれた。
ガーデナー家のマーン九世は一族すべてとともに死に、三千年のガーデナー王家が絶えた。執事ハーラン・タイレルはハイガーデンを明け渡し、その主へと引き上げられた。ローレン・ラニスターは生き延び、跪き、〈岩〉を保った。その教えは算術であった ― 軍勢の勇敢さは、炎からの距離に比例するのみ、と。
〈跪いた王〉
トアレン・スタークは三万の兵を〈三叉矛〉まで進め、対岸の三頭の竜を眺め、そして最も死せる者となるより、〈最後の北の王〉となる道を選んだ。
彼の庶子の弟は戦を促した。トアレンは〈火の野〉でいかなる算術がなされたかを聞いていた。彼はひとりで川を渡り、〈冬の王〉たちの古き王冠をエイゴンの足下に置いた。以来三百年、北部はそのことで彼を、たたえもし、恨みもしてきた ― 等しい重さで。
オールドタウン門を開き、紀年が始まる
〈総主教〉は〈星の聖堂〉にてエイゴンに塗油し、メイスターたちは暦を新たに始めた ― 征服後第一年である。
〈総主教〉は七日のあいだ祈り、七神みずからがエイゴンに戴冠したと宣した ― かくしてオールドタウンは、シタデルと、〈信仰〉の座と、そして皆の面目とを免れた。アンダル人とロイナーと最初の人々の王たるエイゴンは、その治世をその塗油より数えた。この年代記のあらゆる年が、それを軸に折れ曲がっている。
第一次ドーン戦争
ドーンは跪こうとも、戦おうともしなかった。ドーン人は砂と山のうちに溶け去った ― そして竜は、見つけられぬものを焼くことはできない。
「屈せず、曲げず、折れず」と、〈ドーンの黄色い蟇蛙〉メリア・マーテルは言った ― 八十にして盲い、そして動じることもなく。九年に及ぶ襲撃と報復は、ヘルホルトでレイニスの命を奪い ― メラクセスの眼を貫いた蠍弩の矢 ― ターガリエン家に、その唯一の持続する限界を教えた。エイゴンは征服ではなく、和平をなした。ドーンはドーンのままであった。
征服王、ドラゴンストーンにて没す
卒中がエイゴンを、〈彩色の卓〉にて、孫たちに征服の物語を語っている最中に襲った。彼が遺したのは、ひとつの王国と、二人の息子と、答えの出ぬ継承の問いであった。
エイゴンの統治は軽やかであった ― 各王国はおのが法を保ち、王は絶えずその間を巡行した。温厚な息子エイニスは王冠を継ぎ、猛き息子メイゴアは、征服王のヴァレリア鋼の剣ブラックファイアを継いだ ― そしてウェスタロスの領主はこぞって、いずれがより凶兆めいて感じられるかを、静かに心に留めた。
〈信仰の戦士団〉蜂起する
エイニスが娘を息子に、ヴァレリア流に嫁がせたとき、〈信仰〉の剣は竜どもの「忌まわしき行い」に抗して立ち上がり、王国は神々と婚姻をめぐって燃えた。
〈戦士の息子ら〉は〈レイニスの丘〉を占め、〈貧者の同胞団〉は街道に群がった。エイニスは ― ただ愛されることだけを望んだ温厚な王は ― 三十五にして、誰ひとり満足させることのないまま、病と絶望のうちにドラゴンストーンで没した。その弟は、もう一方のやり方を試みることになる。
〈残虐王〉メイゴア
メイゴアは甥の王冠を奪い、火と集団墓地をもって〈信仰の戦士団〉を打ち砕き、〈赤の城〉を完成させ ― そしてその秘密が匠らとともに死ぬよう、建てた者をことごとく殺した。
六人の妻、生き残る世継ぎはなく、〈七人の裁き〉を経て奪った王冠、頭蓋ひとつにつき銀牡鹿貨一枚で集められた数千の〈貧者の同胞団〉の頭蓋。彼は夜、ただひとり、鉄の玉座に座したまま、手首を刃に切り開かれて死んだ ― 玉座みずからの手によって、と平民は言った。彼らはすでに、歴史に刻むべき彼の名を選び終えていたのだ。
〈調停王の平和〉
忍耐をもって購われた五十五年の平和 ― そして彼の世継ぎらが使い果たした。
老王ジェヘアリーズと善良な女王アリサンヌは、道と法と婚姻をもって王国を織り合わせた。ヴィセーリスの下で王国はいっそう富み、竜はいっそう数を増し、そして一族の諍いはいっそう危うくなった。
〈調停王〉ジェヘアリーズ戴冠する
十四歳のジェヘアリーズは、叔父が血を流した玉座を継ぎ ― メイゴアが墓を選んだところで、恩赦を選んだ。〈信仰〉は、王の正義と引き換えにその剣を置いた。
〈信仰〉との和睦 ― 王冠は〈信仰〉を守護し、〈信仰の戦士団〉は解散する ― は二世紀半のあいだ保たれた。鍛冶屋の息子たる修道士バースを〈王の手〉に据え、彼は王国に、ひとつの法と、街道と、そして統治がひとつの技であるかのごとき五十五年の治世とを与えた。シタデルは彼を、ターガリエンの王たちのうち最も偉大な王と評し、その評価が覆されることはあるまいと見ている。
善良な女王アリサンヌ、〈壁〉へ飛ぶ
アリサンヌはシルバーウィングを〈壁〉へ連れて行き、守人の訴えに耳を傾け、王国を恥じ入らせて〈新たな下賜地〉を出させた ― もっともシルバーウィングは、氷の彼方へは飛ぼうとしなかったが。
女王の竜は三度、〈壁〉を越えることを拒んだ ― 黒衣の兄弟たちは今なお、それを意味ありげに語り継ぐ。アリサンヌの〈女の法廷〉は、平民の訴えを王冠のもとへ運んだ。彼女のひと言が、領主の初夜権を終わらせた。守人はひとつの城を、彼女にちなんでクイーンズゲートと名づけた。彼女はそれに値した ― そのほうが、より稀なことである。
〈老王〉、守るに値する王国を築く
王道が、手の指のごとく都より広がった。キングズ・ランディングは、排水路と、井戸と、夜警とを得た。平和は、設計しうるものだと判明した。
五十五年、アリサンヌとのあいだに十人の子、ひとつの王国にひとつの法、そしてターガリエンの婚姻について〈信仰〉を黙らせるための〈例外の教義〉 ― 竜は神にも人にも従わず、と。吟遊詩人が歌うこともない退屈な仕事は、以来あらゆる王に羨まれてきた。
ハレンホールの〈大評議会〉
世継ぎたちに先立たれた〈老王〉は、継承を定めんとウェスタロス中の領主を召集した。彼らは二十対一で、ヴィセーリスを ― 男系を ― 選んだ。
十四の主張が聞き届けられ、最後には、長女を通じての孫レイナー・ヴェラリオンと、長男を通じての孫ヴィセーリスの二人に絞られた。領主たちの評決は先例をつくった ― 鉄の玉座は、女より先に男へ渡る、と。二十八年後、王国の半分は、そんなことは言われなかったふりをすることになる。
ヴィセーリス一世と、真昼の王国
気前よく、諍いを厭うヴィセーリスは、王朝が抱えることになる最も富める王国と、最も多くの竜 ― 二十頭あまり ― を統べた。
彼は最初の妃が死んだのち、娘レイニラを世継ぎに指名し、領主たちに彼女への忠誠を誓わせた ― そののちアリセント・ハイタワーを娶り、さらに四人の子をもうけ、そしてその矛盾を決して解こうとはしなかった。解けば晩餐が台無しになったであろうから。宮廷は、ある馬上槍試合の装いの色をめぐって、緑派と黒派に分かれた。皆が微笑んだ。皆が武装した。
〈海蛇〉の九度の航海
コアリス・ヴェラリオンは、〈氷竜号〉を駆ってイブと〈千の島々〉の彼方まで航し、アッシャイまで交易して戻り、ドリフトマークを〈岩〉よりも富ませた。
〈海蛇号〉での九度の大航海 ― 絹、香辛料、そしてハイタイドを建て、いかなる領主も名を挙げられぬ財宝で満たすに足るサフラン。ウェスタロスが生んだ最も偉大な航海者は、その富を、結局は、来たるべき戦における一族の主張のために費やすことになる。海は与え、玉座は奪う。
デイモン、〈踏み石諸島〉で王冠を得る
落ち着きなく、満たされることのないデイモン王子は、カラクセスと〈海蛇〉の船団とをもって、海賊の島々から王国を切り取り ― そして笑いながら、その小さな王冠を兄の足下に置いた。
〈蟹の餌やり〉は、みずからが荒らし回った岸辺で、デイモンの手にかかって死んだ。〈ならず者王子〉は、勝ち取った王国を二年保ち、そののち退屈のほうが勝った。王国は、デイモンが何者であるかを知った ― 彼の世代で最も優れた戦士にして、退屈させたまま放っておくには最も危うい男である、と。
〈竜の踊り〉
竜が踊るとき、その足下の地こそが王国である。
ターガリエン家の大内戦 ― 緑対黒、兄弟対姉妹、竜対竜。この二年は、家にその未来を、世界にその竜のほとんどを失わせた。
ヴィセーリス没し、緑派エイゴン二世を戴冠させる
王は眠りのうちに死んだ。その評議会は亡骸を隠し、息子エイゴンを秘かに急ぎ戴冠させ、異を唱える者どもへ刃を放った。ドラゴンストーンでは、レイニラがそれに応えて、父の王冠を戴いた。
サー・クリストン・コール ― 〈王を作る者〉 ― は、〈竜舎〉にて平民の前で、征服王の王冠をエイゴンの頭に載せた。悲しみと身重の身でレイニラは、ドラゴンストーンにて父自身の冠を戴いた。二十年に及ぶ緑と黒が、ついにその戦を見出した。王国の竜たちが陣営を選んだ ― それがこの大惨事のすべてを、ひと言で言い表している。
〈血〉と〈チーズ〉
レイニラの息子ルセリスの死の報いに、デイモンは二人の雇われ者を、鼠捕りの通路より〈赤の城〉へと送り込んだ。「息子には息子を」と、彼らは女王ヘレイナに告げ ― そして彼女に選ばせた。
肉屋の下男と鼠捕りが、母の見守るなか、六歳のジェヘアリーズ王子の首を取った。緑派で最も心優しきヘレイナは、二度と元には戻らなかった。年代記は、このひとつの罪よりも帰結の少なき戦を、いくつも記している。〈血〉と〈チーズ〉の後、和平はもはやありえず、あるのはただ勝利か、墓かのみであった。
ルークス・レスト ― 〈女王とならざりし者〉倒る
罠へと誘い出されたレイニス・ターガリエンと〈赤の女王〉は、エイゴンとエイモンド、そして二頭の竜と対峙した。逃げることもできた。だが彼女は代わりに、メレイスを炎のなかへと向けた。
レイニスは ― 〈大評議会〉で退けられ、〈海蛇〉の妻となった女は ― かつて竜将たちがそうであったように、空で戦って死んだ。エイゴン二世はひどく焼かれ、一年を床で過ごした。サンファイアの翼は損なわれた。戦の帳簿が竜で埋まり始めた ― それは、家には支払えぬ算術であった。
〈咽喉〉の海戦
〈三頭政〉の九十隻の軍船が、黒派の海路に襲いかかった。ジャセアリス王子とヴァーマクスも、それとともに斃れた ― 歴史上、最も血なまぐさい海戦である。
レイニラの世継ぎは、水面を覆う煙のなかで死に、この艦隊戦とともに、戦は騎士道の見せかけを一切失った ― 〈咽喉〉は幾週にもわたって難破船で埋まった。ヴェラリオン家の海上封鎖は、辛うじて保たれた。吟遊詩人は、それを歌にしなかった。歌に報いるべき者が、海の上に一人も残っていなかったのだ。
キングズ・ランディング陥ち、〈竜舎〉襲撃される
レイニラは戦わずして都を得 ― そして暴徒に奪われた。片手の預言者が市を煽動し、〈竜舎〉の五頭の竜が、一万の手にかかって死んだ。
重税、恐怖、そしてヘレイナのメイゴア要塞からの投身が、市の忍耐を断ち切った。〈羊飼い〉は、竜こそが罪だと説いた。〈竜舎〉の襲撃は、数千の命と五頭の竜を代償とした ― 槍と狂気を携えた者どもによって、鎖につながれたまま屠られた。レイニラは、みずからの祖が築いた市より逃れた。鉄の玉座は、最初から彼女を切り刻んでいたのだ、と人は言う。
タンブルトンと、翻る外套
二度、軍勢がタンブルトンで相まみえ、二度とも裏切りがそれを決した ― 〈竜の落とし胤〉たちが女王を売り、市は、二度と立ち直れぬ焼き討ちを受けた。
レイニラは、主なき竜に乗せんと、〈竜の落とし胤〉の血を引く騎手を募った。そのうちの二人、〈鎚のヒュー〉と〈白のアルフ〉は、より良き報酬のために、その獣を彼女の大義へと向けた。二人の裏切り者はいずれも、まもなくおのが陣営の手で殺された ― あの年でさえ、越えてはならぬ一線があったのだ。平民がなぜ両の色を呪うに至ったか、その理由を語るあらゆる記録のなかで、タンブルトンはくすぶり続けている。
レイニラ、サンファイアに与えられる
ドラゴンストーンへ逃れたレイニラは、そこに、先回りした異母弟を見出した。エイゴン二世は、〈半年の女王〉をおのが手負いの竜に与えた ― その息子が見守るなかで。
みずからの守備隊に裏切られ、恩赦の約束と引き換えに売られ、レイニラ・ターガリエンは、幼き日を過ごした城の下で、サンファイアの炎に焼かれて死んだ。九歳の幼きエイゴンは、それを見せられた。緑派は勝利を手にした。それは半年のあいだ保つことになる ― ちょうど、彼女の王冠が保ったのと同じほどのあいだ。
毒が〈踊り〉を終わらせる
黒派の軍勢が迫り、名に値する竜も残らぬなか、エイゴン二世自身の領主たちが、彼に毒の葡萄酒を飲ませた。二十四歳であった。戦は、彼とともに死んだ。
降伏か亡骸かの選択を迫られた彼の補佐たちは、実利を選んだ。レイニラの息子はエイゴンの娘と娶され、エイゴン三世として戴冠した ― 竜が母を食らうのを見た少年が、いまや、みずからの竜をおのれに費やした家の王となったのだ。〈踊り〉はターガリエン家から、彼らを見目麗しいだけの一族以上のものにしていた、ただひとつのものを奪い去った。
〈踊りの後〉
竜は死んだ。竜の王らは残り、王冠の重さを知った。
壊れた王、幼き王、聖なる王、不適格な王。最後の竜は中庭で死に、ドーンは得られてまた失われ、そして臨終のひと言が、百年燃え続ける火を灯した。
〈狼の刻〉
クレイガン・スタークは、戦には遅れて南へ来た。ゆえに彼は〈王の手〉として六日のあいだ都を掌握し、王を毒殺した者どもを裁き、罪ある者に選択を差し出した ― 斬首台か、あるいは黒衣か。
ただ一人だけが斬首台を選んだ。ウィンターフェルの領主は、裁き、判決を下し、〈王の手〉を辞し、そして帰路についた ― すべてはひと月のうちに。記録に残るなかで最も短く、そして最も敬われた〈王の手〉であった。北部は、王毒殺の一件を片づけると、ふたたび南を無視することに戻った。
〈壊れた王〉の摂政政治
持ち回りの摂政評議会が幼き王に代わって統治するあいだ、領主たちは〈踊り〉の残り物をめぐって諍った。エイゴン三世は、黒衣をまとい、道化を宮廷に置かぬ、陰鬱な男へと育った。
人は彼を〈壊れた王〉、そして〈不運のエイゴン〉と呼んだ ― 九つのとき、サンファイアが母を奪うのを見たのだ。彼は、竜の炎にたじろぎ、魔法と、予言と、祝祭とを、おおむねその順で憎んだ、実直で、喜びを知らぬ、まっとうな王であった。それでも王国は癒えていった。王国とは、おおむねそういうものだ。
最後の竜の死
キングズ・ランディングのある春の日、最後の竜が死んだ ― 犬ほどの大きさもない、発育の悪い病弱な緑の獣として記憶されているのは誤りである。彼女は馬ほどの大きさがあり、そして彼女こそが終わりであった。
孵化場は絶え、その後に生まれた卵はことごとく石であった。〈踊り〉が血統を使い果たしたのか、あるいはメイスターたちの秘やかな手が力を貸したのか ― シタデルについてそう囁く者もいる ― 竜の時代は、戦ではなく、ひとつの中庭で終わった。ターガリエン家はいまや、慣習と婚姻とによって王国を保っていた。慣習は、炎よりも弱き接合剤である。
〈幼き竜〉、ドーンを征服する
十四歳にして、デアロン一世は征服王のなしえなかったことをなした ― ドーンを取ったのだ。勝ち取るのに一万の兵。保つのにさらに五万、そしてついには、王その人を代償とした。
彼の著した『ドーンの征服』は、今なお従者たちに、名文の手本として課される。その占領のほうは、王子たちに、それ以外のあらゆることの教訓として課される。ドーンは彼が背を向けたその瞬間に蜂起し、和平の旗の下の会談にて、十八歳の〈幼き竜〉は斬り伏せられた。彼の著書は、彼の征服よりもはるかに長く生き延びた。
〈聖王〉ベイロー
デアロンの弟は、ドーンと和を結ばんと〈骨の道〉を裸足で歩き、祈りをもって毒蛇を手なずけ、誘惑を避けんと姉妹たちを塔に閉じ込め、そして、みずからの名を冠する〈大聖堂〉の造営を始めた。
〈信仰〉は彼を崇め、シタデルは目配せを交わす。ベイローはドーン人を赦し、罪に抗して断食し、伝令の鴉を鳩に替えることを検討し ― 鳩のほうがお断りした ― そしてついには、二十八にして、浄めの断食のさなかに餓死した。聖性と、統治への適性とは、別の資質である ― この治世は、そのことを示す例として引かれる。
〈不適格王〉エイゴン
九人の愛妾、追従者どもの宮廷、ドーンに届かぬ〈王の森〉で燃え尽きた木造の竜 ― そして臨終の床での、一世紀にわたる戦を武装させたひと言 ― 彼は、庶子のすべてを嫡出とした。
エイゴン四世は、剣ブラックファイア ― 征服王自身のもの ― を庶子デイモンに与え、人々はそれを心に留めた ― 王たちの剣は庶子へ、そして王冠のみが嫡出のデアロンへ、と。肥満し、気まぐれで、執念深い彼は、その血統で最悪の王として世を終えた。その最後の勅令は、〈大庶子〉たちを王子とし、その王国を火薬庫とした。
ドーン、王国に加わる ― 婚姻によって
四人の王と二度の侵攻がなしえなかったことを、二つの婚姻がなした ― 〈善王〉デアロンはマーテル家の女を娶り、みずからの妹をまた別のマーテルに与え、そしてドーンは、みずからの条件のもとで王国に加わった。
ドーンは、その大公を、その法を、おのが手で徴収する税を保った ― 他のいかなる王国も持たぬ条件である。デアロン一世の戦で血を流した領主たちは、ドーン人は戦場で失ったものを卓上で勝ち取ったのだ、と不平を漏らした。その不平には、待ち受ける名があった ― ブラックファイア、と。
〈ブラックファイアの反乱〉
黒き竜か、赤き竜か ― 五度問われ、つねに血をもって問われた問い。
デイモン・ブラックファイアの主張は、彼の死後も三世代を生き延びた。蜂起の合間には ― 疫病、ひとりの漂泊の騎士とその従者、ありそうもない王、そして王朝の夢を焼き尽くしたサマーホールの火があった。
第一次ブラックファイアの反乱 ― 〈赤草の野〉
黒き竜が、赤き竜に抗して立ち上がった。デイモン・ブラックファイアは ― 〈戦士〉その人だと人は言った ― 〈赤草の野〉にて、ブラッドレイヴンの矢を浴び、二人の息子をかたわらに死んだ。
デイモンには剣があり、武があり、そして王国の騎士道の半分があった ― デアロンの書物やドーン風の宮廷ではなく、戦士たる王を求める者たちが。ブラッドレイヴンの〈鴉の牙〉隊は、彼が倒れた敵を助けようと足を止めたとき、彼を射落とした。ビタースティールとブラッドレイヴン ― ともに異母兄弟である ― は屍を挟んで対峙し、片眼と追放とを引き換えにした。一万が死んだ。翌春、草は赤く芽吹いた、と人は言う。
アッシュフォード草原の馬上槍試合
〈蚤の溜まり〉出の漂泊の騎士が、王子を相手に人形遣いの名誉を守り、〈七人の裁き〉がそれを決した。王国はベイロー・ブレイクスピアを失い、〈のっぽの〉サー・ダンカンは、エッグと呼ばれる従者を得た。
ベイロー王子は ― 世継ぎにして、〈王の手〉、デアロンの血統で最も優れた者は ― ダンカンをかばって受けた弟の鎚矛の一撃により死に、継承は奇妙な方角へと傾いた。禿頭の従者はエイゴン・ターガリエン、四男の四男であり、あまりに間近に見た宮廷よりも、漂泊の騎士の道を選んだ。年代記は、この項にこそ最も多くの温もりを見出し、そのことを詫びる。
〈春の大患〉
疫病がウェスタロスを席巻し、数万を奪い去った ― そのなかには〈善王〉デアロンと、その世継ぎたちの世継ぎ二人がいた。キングズ・ランディングでは、死者が千を数えて壕で焼かれた。
エイリス一世は、書物の表紙のあいだで、予期もせぬ王冠を継ぎ、子を残さず、王国をその〈王の手〉に委ねた ― ブリンデン・リヴァーズ、ブラッドレイヴン、〈千の眼、そして一つ〉を持つ魔術師にして諜報頭である。人々は、彗星を、神々を、ブラックファイア家を、そして互いを責めた ― 伝統的な順序で。
ビタースティール、〈黄金の傭兵団〉を鍛える
狭い海の彼方、ビタースティールは、亡命したブラックファイアの領主たちを、決して破られぬ契約を持つ傭兵団へと束ねた ― そして決して忘れられぬ目的をも。故郷、である。
「黄金の下に、苦き鋼」。金に浸された、団の死せる隊長たちの頭蓋は、今なおそれとともに進軍する ― その先頭にはビタースティール自身の頭蓋があり、死してなお彼は戦をやめようとはしなかった。四世代にわたるブラックファイアの望みが、それらの槍に託されることになる。団の誓いは諺となり、その大義は、忍耐強くあり続けた。
第二次ブラックファイアの反乱、婚礼の場で潰える
ホワイトウォールズの婚礼の馬上槍試合を装った陰謀、褒賞たる竜の卵、そして夢を見る僭称者 ― そのすべてが、矢の一本も放たれぬうちに畳まれた。ブラッドレイヴンは、はじめから卓に着いていたのだ。
幼きデイモンは、みずからの夢が己を父の世継ぎたらしめると信じた。ブラッドレイヴンは、まるごと刈り取れるようにと、まさにそのために陰謀を熟させた。卵は消え、城は取り壊され、そして王国はブラックファイア戦争の第二の教訓を学んだ ― 黒き竜の最悪の敵は、つねにそのデイモンたちの質であった、と。
デイゴン・グレイジョイ、〈落日の海〉を荒らす
ブラッドレイヴンが黒き竜を見張っているあいだ、鉄の民は〈古き道〉を思い出した ― デイゴン・グレイジョイの長船が、アーバーより〈狼の森〉に至るまで、西の沿岸を焼いた。
王国の彼方に弱き王、そしてパイクに強き領主 ― これはウェスタロス料理で最も古いレシピである。狼と獅子はやがてデイゴンを海へと追い返したが、鉄諸島では彼の名は今なお歌われている ― 鉄の民が成功を寛大に採点する証だ、とあるメイスターは述べる。
第三次ブラックファイアの反乱
ビタースティールが、ヘイゴン・ブラックファイアと〈黄金の傭兵団〉とともに、ふたたび来た。終わりは前と同じであった ― 死せる僭称者、逃れたビタースティール、そして踊りが繰り返されるたびに、いっそう疲れゆく王国。
ヘイゴンは剣を差し出した後に討たれた ― 勝者が歴史から洗い落とさなかった汚点である。捕らえられ、引き回されたビタースティールは、〈壁〉行きの船を逃れ、金めっきの頭蓋のもとへと戻った。反乱は儀式と化しつつあった ― 世代ごとのブラックファイア、世代ごとの死者の野、世代ごとの二度とせぬという誓い。
征服後233年の〈大評議会〉 ― エッグ戴冠する
メイカーは無法者の壁を攻めて死に、評議会は、狂える王子の娘と、メイスターの鎖とを飛び越え、四男の四男を戴冠させた ― 〈ありそうもないエイゴン〉である。
エイモンは誓いのために王冠を拒み、何者も弟に敵対させるために己を用いることのないよう、みずからを〈壁〉へと送った。僭称者エイニス・ブラックファイアに安全な通行を約束しておきながらその首を取ったブラッドレイヴンは、斬首台か黒衣かの選択を与えられた ― 彼は〈壁〉を選び、やがてその彼方へと足を伸ばし、記録の外へと消えた。表向きには。
〈ありそうもない王〉と、意に染まぬ領主たち
エイゴン五世は、かつてそうであった漂泊の騎士の従者として統治した ― 平民のための権利と保護、そしてあらゆる条項をめぐって彼と争う領主たち。彼自身の息子たちは、愛のために、彼の婚姻同盟をことごとく反故にした。
ダンカン王子は、オールドストーンズのジェニーと、その〈森の魔女〉のために、王冠そのものを捨てた ― 魔女は、〈約束された王子〉はエイリスとレイラの血統より出ると予言し、それを成就させんと、その二人は意に染まぬまま娶された。あらゆる場面で領主たちに阻まれたエイゴンは、古き夢を見始めた ― 竜のみが、王を従わせるのだ、と。
サマーホールの悲劇
その夏の離宮にて、七つの卵とワイルドファイアと、錬金術師のあらゆる技をもって、エイゴン五世は竜を求めた。火は、離宮と、王と、〈のっぽの〉サー・ダンカンを奪った。その煙と悲しみのなかで、レイガーが生まれた。
その夜についてのシタデルの記録は、七分どおりが焦げた羊皮紙である。断片が語ることを、大メイスターたちは口に出さぬ。ジェニーの歌は今なお奏でられ、レイガー王子は ― 灰のなかで生まれた王子は ― その歌の下で憂いを帯びて育った。片手に竪琴を、もう片手に予言を携えて。竜の夢には死者の数がついてまわる、と年代記は述べる。
〈九文王〉の戦い
九人の無法の王たちが、ウェスタロスへの階段として〈踏み石諸島〉を分け取った。王国は彼らを迎え撃ちに向かい、〈豪胆の〉バリスタンが〈怪異の〉メイリスを斬り伏せた ― 男系最後のブラックファイアである。
第五次ブラックファイアの反乱は、ウェスタロスの地を一度も踏まなかった。〈踏み石諸島〉で、ひとつの世代が初陣の血を浴びた ― バリスタンは一騎打ちでメイリスを討ち、若きタイウィン・ラニスターとエイリス・ターガリエンは友として共に仕え ― 年代記はその言葉に立ち止まる ― そして黒き竜の男系は絶えた。〈黄金の傭兵団〉は生き延びた。その目的よりも長く生き延びて ― 傭兵団が面白くなるのは、まさにそういうときである。
〈ロバートの反乱〉
狂王は二つの首を求めた。王国は鎚をもって応えた。
エイリス二世の治世は希望のうちに始まり、ワイルドファイアのうちに終わった。ひとつの馬上槍試合、ひとつの拉致 ― それが拉致であったならば ― そして竜の三百年の王朝が、血にまみれた一年のうちに倒れた。
エイリス二世と、若き獅子
エイリス二世は十八にして、きらびやかに、そして気前よく玉座を継ぎ、友たるタイウィン・ラニスターを ― 二十歳の ― 史上最年少の〈王の手〉に据えた。十年のあいだ、人々はそれを黄金時代と呼び、本気でそう思っていた。
エイリスが君臨するかたわら、タイウィンが統治した ― 交易は栄え、負債は返され、領主たちは飼い慣らされた。やがて囁きが始まった ― 〈王の手〉を犠牲にした王の戯言、ジョアナへの無礼、みずからより王らしき臣下への妬み。その友情は、危うき友情がそうであるように、少しずつ凝り固まっていった。
ダスケンデイルの反抗
ある小領主が、みずからの町で王を半年のあいだ人質に取った。〈豪胆の〉バリスタンがただひとりで壁を越え、エイリスを連れ出した ― だが、出てきたものは、入ったものと同じではなかった。
エイリスは、タイウィンの助言に反し、気まぐれからダスケンデイルへ赴き、そしてダークリン卿に捕らえられた。タイウィンは、王がいようといまいと町を襲撃する構えを見せた ― エイリスが決して忘れなかった教訓である。救出の後 ― ダークリン家は根絶やしにされ、そして王は、身に触れられることを許さず、髪も爪も切ろうとせず、あらゆる影に刃を見るようになった。王国の転落は、その坂を見出したのだ。
ハレンホールの馬上槍試合
〈偽りの春〉の年、その時代最大の馬上槍試合が、ハレンホールの溶けた塔の下に、王国のあらゆる名だたる者を集めた。レイガーはことごとくを馬から落とし ― そして妻の前を素通りして、リアナ・スタークを〈愛と美の女王〉に戴冠させた。
霜のごとく青き冬薔薇の冠が、婚約した北の娘の膝に置かれた ― 年代記は、これより帰結の少なき王国の滅亡をも記してきた。その同じ馬上槍試合で、エイリスは ― 陰謀の噂につられて〈赤の城〉から誘い出された王は ― ジェイミー・ラニスターを、史上最年少で誓いを立てる〈王の楯〉とした。世継ぎを奪うことでタイウィンを困らせるためである。笑うウェアウッドの楯を掲げた謎の騎士が現れ、そして消えた。エイリスはその笑いのなかに謀反を見た。来たるべき戦のあらゆる糸が、その馬場にあった。
レイガーとリアナ消え、スタークの血燃ゆ
レイガーはリアナ・スタークを連れ去った ― 力ずくか、それとも本人の意志か、王国はおのおの答えを選んだ ― そしてブランドン・スタークは、王子に出て来て死ねと叫びながら、キングズ・ランディングへと馬を駆った。エイリスは、火をもって応えた。
息子の弁明のために召喚されたリカード公は、決闘裁判を要求した。エイリスは火を己の代闘士に指名し、彼を鎧のなかで焼き焦がした ― かたわらではブランドンが、剣に手を伸ばそうともがきながら、みずからの首を絞めていた。ついで王は、ジョン・アリンにさらに二つの首を要求した ― 彼の被後見人、エダード・スタークとロバート・バラシオンである。〈鷲の巣城〉の答えは、旗であった。
〈鐘の戦い〉
傷を負い、追われる身のロバートは、ジョン・コニントンが捜索のために町をずたずたにするあいだ、〈石の聖堂町〉に潜んでいた。鐘が警鐘を鳴らし、反乱軍が来たり、そして〈王の手〉の失態が、彼を追放へと追いやった。
コニントンは、その後の生涯を通じて、あの町を焼かず名誉をもって戦ったがために、戦に敗れたのだと言い続けた。エイリスもほぼ同じことを ― 悔恨を差し引いて ― 言い、彼を追放した。ロバートはその日、六人を討ったと歌われる。町が覚えているのは、王ではなく、鐘のほうである。
〈三叉矛〉 ― 川に散る紅玉
レイガーはついに四万の兵とともに北上し、渡し場でロバートと相まみえた。戦鎚がそれを終わらせた ― 竜の王子は水のなかで死に、その胸甲の紅玉が流れに散った。
人々は今なお、〈紅玉の渡し〉と呼ばれるようになったその渡し場で、紅玉を求めて潜る。レイガーは、ある女の名を唇に乗せて死んだ、と物語は伝える ― そして王国は、以来その名をめぐって論じ続けている。傷により死にかけていた〈豪胆の〉バリスタンは、見事に戦ったことを理由に、ロバートに赦された ― 新王が、その宮廷を他人の騎士で満たすまで繰り返すことになる、王者らしき振る舞いである。
キングズ・ランディングの略奪
タイウィン・ラニスターは忠誠を唱えつつ門に来たり、エイリスはそれを開いた。獅子どもは市を略奪し、〈山〉はエリア・マーテルとその子らを殺し、そしてジェイミー・ラニスターは、狂王がすべてを焼き尽くす前に、その喉を切り開いた。
エイリスの最後の命令は、その錬金術師たちへのものであった ― ワイルドファイアが市全体の地下に隠されており、王は五十万の人々の灰のなかから竜を蘇らせるつもりであった。ジェイミーは錬金術師を殺し、次いで、みずからが仕えると誓った王を殺し、そして玉座に腰を下ろして待った ― ただひとつの正しき行いによって〈王殺し〉の名を得、そして人々がいずれの行いを裁くかについて、生涯にわたって見誤られることとなった。タイウィンは、血が目立たぬようにと、子らの亡骸を深紅の外套に包んで差し出した。血は、目立った。
〈歓喜の塔〉 ― 守られた約束
はるか南、ドーンの山中で、ネッド・スタークと六人の仲間は、孤塔を守る最後の〈王の楯〉三人を見出した。八人の男が死んだ。塔のなかでは、リアナが血の褥で死につつあった ― そしてネッドは、彼女に、いまだ誰にも語らぬ約束をした。
〈王の楯〉の〈白き牡牛〉たち ― ハイタワー、ウェント、そして〈暁の剣〉その人たるアーサー・デイン ― が、なぜ、みずからの王のかたわらでも、ドラゴンストーンの王妃のかたわらでもなく、名もなき塔を守っていたのか、年代記は語りえない。ネッドは塚のために塔を取り壊し、〈黎明〉をスターフォールへ返し、そしてリアナの骨と、卑しく生まれた息子とともに帰郷した。王国は数え合わせ ― そして、おおむね数えるのを控えた。
牡鹿戴冠し、竜は散る
ロバートは、征服の権利と、祖母のターガリエンの血によって玉座を得、獅子を結びつけんとサーセイ・ラニスターを娶り、ジョン・アリンを〈王の手〉とした。ドラゴンストーンでは、その年最悪の嵐のなか、ダエネリスが生まれ ― そしてロバートの艦隊が上陸する前に、エッソスへと秘かに送り出された。
レイラ王妃は、彼女を産んで死んだ。忠臣たちは、その娘と、少年ヴィセーリスとを、狭い海の彼方へと連れ去った。二人はそこで庇護者から庇護者へと流浪することになる ― 〈物乞い王〉と、嵐に生まれた王女は、母の王冠の最後の一片を売りながら。ロバートは竜の頭蓋を地下室に納め、竜の落とし胤への憎しみは表に掲げた。ひとつの平和が続いた。負債は ― そのすべてが ― 積もっていった。
グレイジョイの反乱
ベイロン・グレイジョイはみずから戴冠し、停泊中のラニスター艦隊を焼き、緑なす地の民は新たな王朝のために血を流すまいと賭けた。彼らは血を流した。パイクは陥ち、ベイロンの生き残った最後の息子は、被後見人にして人質として、ウィンターフェルへと送られた。
〈古き道〉は、統一された王国と衝突し、一年で敗れた ― スタニスがフェア島沖で〈鉄の艦隊〉を打ち砕き、ロバートの鎚がパイクの破れた壁を越えて来た ― 炎の剣を持つ〈ミアのソロス〉が真っ先に突破口を抜けた。ベイロンは跪き、そして己の頭のなかでは王のままであり続けた ― 鉄の民にはよくある取り決めである。シオン・グレイジョイは、狼のなかで狼として育った ― おおむね、というより、たいていは、そうではないかたちで。
〈氷と炎の歌〉
年代記はここで歴史家たちを追い越し、物語そのものとなる。
刊行された五部の小説の出来事を、歴史として記す。新たな読者よ、心せよ ― この章はあなたを守るために覆われている。読み終えたとき、あるいは知ることをもはや恐れぬときに、覆いを取れ。
ここより先、年代記は小説そのものを語る。知ることを恐れぬ者のみ、読み進めよ。
ここより先、年代記は小説そのものを語る。知ることを恐れぬ者のみ、読み進めよ。
ここより先、年代記は小説そのものを語る。知ることを恐れぬ者のみ、読み進めよ。
ここより先、年代記は小説そのものを語る。知ることを恐れぬ者のみ、読み進めよ。
ここより先、年代記は小説そのものを語る。知ることを恐れぬ者のみ、読み進めよ。
ここより先、年代記は小説そのものを語る。知ることを恐れぬ者のみ、読み進めよ。
ここより先、年代記は小説そのものを語る。知ることを恐れぬ者のみ、読み進めよ。
ここより先、年代記は小説そのものを語る。知ることを恐れぬ者のみ、読み進めよ。
ここより先、年代記は小説そのものを語る。知ることを恐れぬ者のみ、読み進めよ。
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ここより先、年代記は小説そのものを語る。知ることを恐れぬ者のみ、読み進めよ。
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ここより先、年代記は小説そのものを語る。知ることを恐れぬ者のみ、読み進めよ。
ここより先、年代記は小説そのものを語る。知ることを恐れぬ者のみ、読み進めよ。