王国が知ること 〈 ロバートの反乱〉のほつれた末端、竜王が死に、その世継ぎたちが逃げるか斃れたのち、エダード・スタークはドーンの赤き山脈へと南へ馬を進め、妹を探した。その場所は〈喜びの塔〉として記憶されている ― 苦い名である。ネッドがそこに見出したのは、悲嘆であったからである。王の楯の三騎士がその前に立ちはだかっていた。戦は短く凄惨であった。それが終わったとき、七人が死し、二人のみが馬を返した。エダード・スタークは塔を登り、瀕死のレイニラ・スターク姫を見出した。
ここまでは読者も覆いなしに知ってよい ― その形は古き噂であり、画面もその輪郭を示してきたからである。だが〈喜びの塔〉は、婚礼や戦とは違う。頁のうちで平明に語られることは、ほとんど何もない。年代記が知るのは、ただひとつの熱に浮かされた夢を通じてのみである ― 年月を経てのち、傷を負った男によって、半ば覚えているだけの夢を通じて。その読み解き、そして書物が未解決のままに残す問いは、以下に覆いを施して記す。
詳しい記述
六対三 ネッド・スタークはひとりで馬を進めたのではなかった。六人の道連れが彼とともに山へと向かった ― 沼沢のホーランド・リード、〈大男〉の縁者、そして河間平原の北の領主たち ― ウィラム・ダスティン、マーク・ライズウェル、イーサン・グローヴァー、テオ・ウル、そしてマーティン・キャッセルである。この七人に対して立ったのは三人であったが、その三人こそ王国きっての剣であった ― 乳白色の刃〈黎明〉を帯びる〈暁の剣〉サー・アーサー・デイン、サー・オズウェル・ウェント、そして王の楯総帥、〈白き牡牛〉サー・ジェロルド・ハイタワーである。
刃が鞘に収まったとき、ネッドの七人のうち六人が死しており、王の楯の三人もすべて死んでいた。〈喜びの塔〉から馬を返したのは、エダード・スタークと沼沢の民ホーランド・リードのみであった。年代記は、その戦を打撃ごとに確かに語ることはできない ― その唯一の生き証人は記録を残さず、もうひとりは墓まで沈黙を守ったからである。残されたのは戦の報告ではなく、ひとつの夢である。
〈歓喜の塔〉 ― 守られた約束
熱に浮かされた夢 〈喜びの塔〉について読者が与えられるすべては、年月ののち、南の別の城の黒き独房にて傷つき夢見るエダード・スタークの熱を通じて届く。夢のなかで死せる騎士たちは彼に語りかけ、その言葉こそがこの物語全体でもっとも奇妙な部分である。ネッドは彼らに、王国が滅びるとき彼らはどこにいたのかと問う ―「〈三叉矛〉であなた方の姿を探した」と彼は告げる、そしてキングズ・ランディングでも、竜の血の最後の者たちが逃れたドラゴンストーンでも。「われらはそこにおらなんだ」とサー・ジェロルドは答える。「もしおったならば、簒奪者に災いあれ」。
そして問答はその蝶番の上で転じる。ネッドは、戦は終わり、王の楯の王は死に、もはや守るべきものはないと告げる。「いまここに始まるのだ」とサー・アーサー・デインは言う。「否」とネッドは答える、「いまここに終わるのだ」。そして剣が抜かれる。メイスターたるもの、熱にうかされた夢を、もっとも貧弱な種の証拠として扱わねばならない ― 痛みと年月に歪められた記憶である ― それでも、歌い手たちも読者たちも等しく、その数行のなかに大いなる秘密の鍵を見出してきた。その言葉は、この三人が、戦の終わりをおのが務めの終わりとは考えていなかったことを明白に語っているからである。
〈歓喜の塔〉 ― 守られた約束
書物が開いたままに残す問い ここに、頁が設けながら答えを拒む謎がある。生ける最強の七騎士のうち三人が、王が包囲され殺されるあいだ、王妃と乳飲み子の世継ぎがドラゴンストーンへと逃げるあいだ、そして王朝最後の望みが他者の手へと渡るあいだ、ドーンの寂しい塔をひとつ守り続けていたのである。王の楯の目的そのものは王家の血を守ることにある ― だがこの三人は、王も、王妃も、王子も守らなかった。塔を、そしてそのなかにいるネッド・スタークの死にゆく妹を守っていたのである。
みずからの誓いし王が逃走中でありながら、この王の楯にとって、その子より価値あるものが何であったのか。書物はそれを語らない。だが読者たちは長らく、この沈黙からひとつの答えを引き出してきた ― リアナ・スタークはただの捕虜ではなかったこと、彼女と竜の王子レイガーとは、拉致以上の何かによって結ばれていたこと、そしてこの塔のうちに、その血によって、この三人の白き騎士たちが留まり守り続けた真の世継ぎとなる子がいたこと、である。年代記はこれを正直にあるがままに書き記す ― これは記録ではなく、ひとつの読みであり、本文が誘いはすれど決して確かめはしないひとつの理論である。これをつぶさに検討したい者は、われらの理論の項にてそれを見出すだろう。
〈歓喜の塔〉 ― 守られた約束 レイガーとリアナ消え、スタークの血燃ゆ
誓ってくれ、ネッド ネッドは塔の頂の一室へと登り、血に染まった寝台のなかに、血と薔薇の香り ― 竜の王子がかつて、王国じゅうの前で彼女に戴かせた、北部の青き冬薔薇 ― のうちにリアナを見出した。彼女は死にゆこうとしており、その最後の力のうちに、兄にあることを求め、彼はそれを誓った。「誓ってくれ、ネッド」と彼女は言い、繰り返し言った。そしてその誓いこそが、彼女の死のうち彼が声に出して語った唯一の部分であり、それでさえ彼は最後まで語り終えることはなかった。
ネッド・スタークが〈喜びの塔〉より持ち帰り、ウィンターフェルまで携え、その正直な生涯のもっとも冷たき沈黙のうちに保ち続けたものが何であったか、書物は述べない ― 読者を、ネッドが立った場所に立たせ、裏切るくらいならば死を選ぶ秘密を抱えさせるのである。年代記は彼とともにその沈黙を守る。ただ、その約束がこの男の残りの生涯すべての形を定めたこと、そしてもっとも誉れ高き領主エダード・スタークへの真の鍵は、彼が愛のために語ったただひとつの嘘であり、それを一度たりとも書き記さなかったことにあると記すのみである。
〈歓喜の塔〉 ― 守られた約束 これらの分かれ道は、書物では未だ辿られぬ死や結末、道を名指す。両の道を知る者のみ ― あるいは知ることを恐れぬ者のみ ― 覆いを取れ。
相違の覆いを取る その後 ネッド・スタークは妹を故郷へ連れ帰った。彼はリアナの骨を長き道のり北へと運び、ウィンターフェルの地下墓所、〈冬の王〉たちのあいだに眠らせた ― そこにはいまも石の像が彼女を留めている。彼はまた、伝えるところでは、彼女を守って死んだ王の楯三人の骨も持ち帰り、倒れた道連れたちのために己自身の塚を築かせ、大剣〈黎明〉をスターフォールのデイン家へと返した ― 誉れある男が斃れた敵の刃をその一族に返すように。塔そのものは取り壊させ、その石の一部は塚のために使われたと伝えられる。
王国の大方は〈喜びの塔〉を、終わった戦のもうひとつの悲しみ ― 失われた領主の妹、反乱最後の流血、山中の騎士たちの戦い ― として読んだ。だがネッドが北へ持ち帰った秘密は ― その真の形が何であれ ― 戦よりも、それを覆しかねぬ王よりも、そしてネッド自身よりも長く生き残った。それはこれらの書物のうちもっとも静かな大いなる瞬間であり、おそらくその帰結においてはもっとも大きな響きを持つ ― 読者が決して聞くことを許されぬ約束を軸に回っているからである。
これらの分かれ道は、書物では未だ辿られぬ死や結末、道を名指す。両の道を知る者のみ ― あるいは知ることを恐れぬ者のみ ― 覆いを取れ。
相違の覆いを取る 書物とドラマ 示された戦、示されなかった戦
書物はこの戦をほとんど完全にネッドの夢を通じて与え、決してこれを演出しない ― 読者は誰が死んだかを知るが、いかに死んだかはついに知らない。画面はこれを劇化することを選んだ ― サー・アーサー・デインが北人たちを相手にする決闘、多勢に無勢の二刃、そしてあの伝説が許すよりも騎士道に欠けた結末である。その演出のいくつかの飾りは創作であり、読者はそれを軽く受け止めるべきである。頁が保証するのはただ死者の数と、夢のなかで語られた言葉だけであり、道化芸人たちが沈黙を埋めるべく用意した振り付けではない。
秘められたままの囁き
両方の語りとも、ネッドを血の寝台と囁かれた約束のもとへ連れて行く。どちらも、塔の重み全体がリアナが求めたもの、そしてネッドが答えたものにかかっていることを理解している。画面は身を寄せ、視聴者にほとんどそれを聞かせるところまで踏み込み、その準備ができていると判断した観客のために開示を演出した。刊行された頁は読者にその聞き取りを一度も許したことがない ― 約束は死にゆく女の耳へと語られ、そこに封じられる。書物の長き沈黙こそが、それ自体主題なのである。年代記は頁に忠実であり続け、その沈黙を守る。
これらの分かれ道は、書物では未だ辿られぬ死や結末、道を名指す。両の道を知る者のみ ― あるいは知ることを恐れぬ者のみ ― 覆いを取れ。
相違の覆いを取る
Beyond the text What the chronicle strongly implies but never states outright, and what the author has said beyond the page — set apart from the established record, and never sworn to by the maesters.
What Ned found at the tower — three of the finest knights of the Kingsguard spending their lives to hold a lonely keep far from their king, and his sister dying in a bed of blood with a promise on her lips — reads as the guarded birth of a child the realm must never know as Rhaegar's, and the promise as the vow to keep that child hidden. Source A Game of Thrones, Eddard X & Eddard XVこれらの分かれ道は、書物では未だ辿られぬ死や結末、道を名指す。両の道を知る者のみ ― あるいは知ることを恐れぬ者のみ ― 覆いを取れ。
相違の覆いを取る この頁を支える羊皮紙 A Game of Thrones — エダード(熱の夢) The World of Ice & Fire — 竜たちの終焉 A Storm of Swords — エダードの縁者たちの回想 喜びの塔で何が起きたのか? ロバートの反乱の終わりに、エダード・スタークはドーンの赤き山脈へ馬を進め、妹リアナを探した ― 〈喜びの塔〉と呼ばれる場所に留め置かれていた。三人のキングスガードが道を阻んだ。戦いにおいて、ネッドの七人の伴侶のうち六人が死に、キングスガード三人すべてが倒れた ― 生き残ったのはネッドとハウランド・リードのみであった。ネッドは塔に登り、血の褥に死にゆくリアナを見出した。
喜びの塔で戦ったのは誰か? ネッド・スタークと六人の伴侶 ― その中にはクラノグマンのハウランド・リードもいた ― 対、キングスガードの三人 ― 〈払暁の剣〉アーサー・デイン卿、オズウェル・ウェント卿、そして総帥ジェロルド・ハイタワー卿である。この一部始終は、何年も後のネッドの熱に浮かされた夢を通してのみ伝わっており、戦の報告書ではない。
なぜキングスガードは塔を守っていたのか? それは、書物が立てて決して答えぬ謎である。生ける最も偉大な騎士のうち三人が、ドーンの塔ひとつに立ち、その間に彼らの王は殺され、最後のターガリエンの世継ぎたちはドラゴンストーンへ逃れた ― 王も王子も守らず、塔とその中のリアナを守っていたのである。読者たちは長らく、その沈黙からひとつの答えを読み取ってきた。年代記はそれを、慎重に扱いつつ、本文が誘いはすれど決して確証はしない考察として扱う。
リアナがネッドに立てさせた約束とは何であったか? 血の褥に死にゆきながら、リアナは兄に何かを求め、彼は言葉を与えた ― 「約束してくれ、ネッド」。書物はその約束が何であったかを決して述べない ― 読者を、ネッドが立っていた場所に立たせ、裏切るくらいなら死を選ぶであろう秘密を握らせたままにする。映像は近づき、視聴者にほとんどそれを聞かせんばかりにした。頁は沈黙を保ち、この年代記もまた同様である。